敷金と礼金の違いとは?戻るお金・戻らないお金の見分け方と相場
賃貸の相見積ドットコム 編集部
賃貸のお部屋探しや初期費用に関する不安・疑問を持つ方に向けて、誰でも正しく比較・判断できるようになる情報を中立・公正な姿勢で発信しています。記事作成の際は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」や賃貸住宅管理に関する公的ガイドライン、消費者契約法などの公的資料を必ず確認し、正確な情報提供に努めています。記載している金額・相場は公開情報に基づく目安であり、実費は物件や会社により異なります。最終的な判断の際は、不動産会社や公の相談窓口への確認をおすすめします。
結論:敷金は退去時に精算されて戻る可能性のある「預け金」、礼金は大家へのお礼で戻らない「支払い」です。この違いは言葉の定義の問題ではなく、「どちらを削りにいくべきか」が変わる実利の話です。
賃貸の初期費用で最も大きいのが敷金と礼金です。どちらも「家賃◯ヶ月分」と同じ書き方で見積書に並ぶため、同じ性質の費用だと思われがちですが、実際にはまったく別のお金です。
- 敷金 … 大家に預けるお金。退去時に精算して戻ってくる可能性がある
- 礼金 … 大家に渡すお金。戻ってこない
この違いが分かると、見積書を見たときの打ち手が変わります。礼金は交渉の余地がある一方、敷金を削っても得とは限らないからです(理由は後述します)。この記事では、両者の違いを判断に使えるレベルまで整理し、相場・地域による慣習の違い・確認すべき点までをまとめます。
敷金と礼金、30秒でわかる違い

まずは両者の違いを一覧で押さえましょう。
| 項目 | 敷金 | 礼金 |
|---|---|---|
| 性質 | 預け金(担保) | 大家へのお礼 |
| 法的な位置づけ | 民法第622条の2に規定あり | 法律の規定はない(慣習) |
| 退去時 | 精算後に返還される | 返ってこない |
| 相場 | 家賃の1〜2ヶ月分 | 家賃の0〜2ヶ月分 |
| 交渉の余地 | 小さい(担保のため) | ある(大家の取り分のため) |
| 地域による慣習 | 関西・九州では「保証金+敷引き」 | 地域差は小さい |
| 使い道 | 家賃滞納・原状回復の充当 | 大家の収入 |
ポイントは、**敷金は「自分のお金を預けているだけ」**で、退去時に部屋を傷めていなければ多くが戻ってくるということ。一方、礼金は払った時点で戻らない費用です。同じ「家賃◯ヶ月分」でも、性質はまったく違います。
違いを知ると何が変わる?「削る順番」が決まる
敷金と礼金の違いは、雑学ではなく費用を下げる順番を決めるための判断材料です。
礼金は「支出」なので、削れば削っただけ得になります。 大家の収入であり、法律上の支払い義務もないため、空室が長い物件や閑散期には交渉が通ることがあります。物件選びの段階で「礼金ゼロ」に絞るだけでも数万〜十数万円変わります。
一方、敷金は「預け金」なので、減らしても得とは限りません。 敷金を1ヶ月分に減らせば初期費用は下がりますが、退去時に戻る金額も減ります。さらに敷金ゼロの物件では、原状回復費を退去時に実費で請求される契約が少なくありません。初期費用が下がった分が、退去時に戻ってくるだけというケースもあります。
つまり、初期費用を下げる優先順位は次のようになります。
- 礼金 … 戻らないお金なので、削れば純粋に得
- 仲介手数料・任意オプション … 会社ごとに差が大きく、最も削りやすい(外せるオプション一覧)
- 敷金 … 減らしても退去時に戻る額が減るだけの場合がある
「初期費用の総額」ではなく「最終的に戻ってこない金額」で比べる、というのがこの記事で一番お伝えしたい考え方です。
敷金の仕組みと相場
敷金は何に使われる?
敷金は、入居中の家賃滞納や、退去時の原状回復費用に充てるために大家へ預けるお金です。何事もなければ、退去時に未使用分が返金されます。
ここで重要なのが「原状回復」の正しい意味です。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、普通に生活して生じた経年劣化や通常損耗の修繕費は、原則として大家負担とされています。借主が負担するのは、故意・過失による損傷(タバコのヤニ、ペットの傷、こぼした液体のシミなど)に限られます。
敷金は退去時にいくら返ってくる?
返還額は「敷金 −(借主負担の原状回復費+未払い家賃など)」で決まります。
たとえば家賃9万円の物件で敷金2ヶ月分(180,000円)を預けた場合、退去時の借主負担分が20,000円であれば160,000円が返還されます。一方、喫煙によるヤニ汚れで原状回復費が100,000円かかれば、返還額は80,000円に減ります。

返金トラブルを防ぐコツは次の3つです。
- 入居時に部屋の状態を写真で記録しておく(既存の傷を残しておく)
- 退去時の立ち会いで、負担範囲をその場で確認する
- 高額な請求には明細と根拠(ガイドライン)を求める
どの費用が借主負担にあたるかの詳しい区分、返還額の計算例、高額請求への対処は敷金はいくら返ってくる?返還額の計算と原状回復で解説しています。
敷金の相場
敷金の相場は家賃の1〜2ヶ月分です。近年は敷金1ヶ月分、あるいは敷金ゼロの物件も増えています。ただし後述のとおり、関西・九州では敷金ではなく「保証金」という名称と、独自の精算ルールが使われることがあります。
礼金の仕組みと相場
礼金はなぜ払う?返ってこない理由
礼金は、もともと「部屋を貸してくれる大家へのお礼」という慣習から生まれた費用です。法的に支払い義務があるものではなく、大家の収入になるため返還されません。サービスや対価があるわけではない、いわば「慣習的な上乗せ費用」です。
礼金の相場は「1ヶ月」がデータ上の基準
礼金の相場は家賃の0〜2ヶ月分とされますが、実際の募集で最も多いのは1ヶ月分です。**三大都市圏の民営借家では、礼金の72.1%が「家賃1ヶ月ちょうど」**で募集されています。
この数字が役に立つのは、手元の物件が相場から外れているかを判断できるからです。礼金2ヶ月分と提示されていれば、それは多数派ではありません。近年は空室対策として礼金ゼロの物件も増加しており、特に築年数が経った物件や閑散期には礼金なしが珍しくありません。
礼金を実際に下げる手順・成功率・文例は礼金は交渉できる?成功率と時期・文例にまとめています。
地域で違う:関西・九州の「保証金」と「敷引き」
敷金・礼金の話には地域差があります。ここは全国共通の解説記事では抜けやすい一方、当てはまる地域の方には金額に直結する部分です。
関西(大阪・兵庫・京都など)や九州では、敷金の代わりに「保証金」を預け、そのうち一定額を退去時に返さない「敷引き」という慣習があります。
| 一般的な敷金 | 保証金+敷引き | |
|---|---|---|
| 呼び方 | 敷金 | 保証金 |
| 退去時 | 借主負担分を精算した残りが戻る | あらかじめ決められた額(敷引き)は無条件で戻らない |
| 主な地域 | 全国 | 関西・九州など |
重要なのは、**敷引き分は実質的に礼金と同じ「戻ってこないお金」**だという点です。「敷金2ヶ月・礼金0ヶ月」と書かれていても、保証金2ヶ月・敷引き1ヶ月の条件であれば、戻らない金額は家賃1ヶ月分あります。礼金ゼロに見えて、実質的には礼金がある状態です。
確認すべきなのは「いくら預けるか」ではなく「いくら戻らないか」です。 契約前に、保証金の額・敷引きの額・敷引き後の精算方法の3点を必ず確認してください。この記事の冒頭で述べた「最終的に戻ってこない金額で比べる」という考え方が、最も効いてくる場面です。
「敷金・礼金ゼロ(ゼロゼロ物件)」を選ぶ前に
初期費用が抑えられる「ゼロゼロ物件」は魅力的ですが、戻らないお金という観点では注意が必要です。
- 短期解約違約金が設定されていることが多い(1年以内の退去で家賃1〜2ヶ月分など)
- 退去時のクリーニング代が別途固定で請求される契約がある
- 敷金ゼロのぶん、退去時の原状回復費を実費で請求されることがある
- 家賃自体がやや高めに設定されているケースもある
ゼロゼロ物件は「初期費用が安い=総額が安い」とは限りません。契約期間中・退去時のコストまで含めて比較することが大切です。
デメリットと判断基準は敷金礼金なし物件はやめたほうがいい?、退去時に実際いくらかかるかは敷金礼金なしの退去費用はいくら?で詳しく解説しています。
敷金・礼金以外の初期費用も忘れずに
初期費用は敷金・礼金だけではありません。代表的な内訳は次のとおりです。
| 項目 | 相場 | 戻ってくるか |
|---|---|---|
| 敷金 | 家賃1〜2ヶ月 | 一部戻る |
| 礼金 | 家賃0〜2ヶ月 | 戻らない |
| 仲介手数料 | 家賃0.5〜1.1ヶ月 | 戻らない(会社で差が出る) |
| 前家賃 | 家賃1ヶ月 | 戻らない(入居日で日割り調整) |
| 保証会社利用料 | 家賃0.5〜1ヶ月 | 戻らない |
| 火災保険 | 1.5〜2万円 | 戻らない(自分で選べる場合あり) |
| 鍵交換・消毒等 | 1〜3万円 | 戻らない(任意オプションは断れる) |
こうして並べると、戻ってくるのは敷金だけだと分かります。だからこそ、削るべきは「戻らない側」です。各項目の詳しい中身は賃貸初期費用の内訳全解説で、外せる費用は初期費用で外せるオプション一覧で解説しています。
戻らない費用を一番大きく削る方法
敷金・礼金は物件ごとにほぼ決まっていますが、仲介手数料や任意オプションは仲介会社によって大きく異なります。同じ物件でも、依頼する会社を変えるだけで初期費用が数万〜十数万円変わることがあります。
そこで有効なのが、複数の仲介会社から見積もりを取って比較する賃貸の相見積もりです。周囲に知られずにできるのかは相見積もりはバレる?で、安くする方法全体は初期費用を安くする方法10選でまとめています。
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よくある質問
Q1. 敷金と礼金、どちらが返ってきますか?
敷金は返ってきます。敷金は大家に預けるお金で、退去時に未払い家賃や借主負担の原状回復費を精算した残額が返還されます。礼金は大家へのお礼として渡すお金なので、返還されません。
Q2. 敷金と礼金の違いを一言でいうと何ですか?
「預けるお金」と「渡すお金」の違いです。敷金は民法第622条の2に規定がある預け金で、退去時に精算されて戻ります。礼金は法律に規定のない慣習的な費用で、支払った時点で大家の収入になり戻りません。この違いから、交渉して意味があるのは主に礼金の側になります。
Q3. 敷金・礼金の相場はいくらですか?
敷金は家賃の1〜2ヶ月分、礼金は家賃の0〜2ヶ月分が相場です。国土交通省「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」によると、三大都市圏の民営借家では礼金の72.1%が家賃1ヶ月分で募集されています。関西・九州では敷金の代わりに「保証金」と「敷引き」の慣習がある地域もあります。
Q4. 敷金ゼロ・礼金ゼロの物件はお得ですか?
初期費用は確実に安くなりますが、総額では損をすることもあります。短期解約違約金が設定されていたり、家賃が割高だったり、退去時のクリーニング費用を実費請求される特約が付いていたりするためです。2年間のトータル費用で比較してください。
Q5. 敷金・礼金は交渉で下げられますか?
礼金は交渉の余地がありますが、成功率は約10%です。敷金は原状回復の担保なので下げるのは困難で、下げられたとしても退去時に戻る額が減るだけの場合があります。より確実なのは、会社ごとに設定が異なる仲介手数料や任意オプションを複数社で比較することです。
Q6. 「敷引き」がある物件は損ですか?
敷引き分は退去時に無条件で戻らないため、実質的には礼金と同じ性質の費用です。損かどうかは、敷引き額を含めた「戻ってこない金額の合計」で他の物件と比べて判断してください。保証金の額だけを見て「敷金が多いから安心」と考えるのは危険です。
まとめ
- 敷金は預け金(民法に規定あり・一部戻る)、礼金は慣習的な支払い(法律の規定なし・戻らない)
- 違いが分かると削る順番が決まる。礼金 → 仲介手数料・任意オプション → 敷金の順
- 比べるべきは初期費用の総額ではなく、最終的に戻ってこない金額
- 礼金は三大都市圏で72.1%が家賃1ヶ月分。それより高ければ多数派ではない
- 関西・九州の保証金・敷引きは「礼金ゼロに見えて戻らないお金がある」パターンに注意
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この記事を書いた人
賃貸の相見積ドットコム 編集部
賃貸のお部屋探しや初期費用に関する不安・疑問を持つ方に向けて、誰でも正しく比較・判断できるようになる情報を中立・公正な姿勢で発信しています。記事作成の際は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」や賃貸住宅管理に関する公的ガイドライン、消費者契約法などの公的資料を必ず確認し、正確な情報提供に努めています。記載している金額・相場は公開情報に基づく目安であり、実費は物件や会社により異なります。最終的な判断の際は、不動産会社や公の相談窓口への確認をおすすめします。